昔、五條川にはおしどり、かいつぶりなどの水鳥が多く住んでいました。伊勢国の大名藤堂高虎が清洲から小牧へ行く途中五六橋付近を通りかかると、川の中にひとつがいのおしどりが仲よく遊んでいました。藤堂公の家来が矢を放って雄鳥を殺して持ち帰り、小牧の陣屋で料理をして主人の酒のさかなにしました。その夜、美しいお嫁さんがやって来て「私の夫を殺したが、夫の首を返してください」と言って勝手元に捨ててあった雄のおしどりの首を持って立ち去り、門前で雌のおしどりになって飛び去りました。

 翌年また藤堂公がその川べりを通りかかると、一匹のおしどりがいました。また射ち殺してみると、そのおしどりは前に殺した雄の首を翼の内にしっかり抱いていました。

 人々は大いに驚き、昨年の幽霊のことを思い出し、かわいそうにおもってお寺を建てました。その寺は今は無くなってしまった鴛鴦寺というお寺です。