今の愛知県立一宮商業高等学校の西の村がすなわち名栗であるが、この墓場に一本の松の木があって、あまり大きな木ではないが、地上一間半ばかりの所から枝が分かれ、そこの所に大きな得体の知れぬ巣があり、誰言うとなく天狗の巣と言い伝えるようになって、村人は一人としてその松へのぼる者もいませんでした。ある年のこと、演習のためやってきた勇敢なる一兵士が、かっこうの展望台ござんなれと村人の驚くのにも気づかず、この松の木へ登りはじめたのであったが、その巣まで達するや、真逆さまに地上へ転落し色青ざめて無言のまま逃げ去ったということで以来郷人はいよいよ恐れをなして近づかないとのことです。